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「大丈夫だから、落ち着いて、」



陽は、過呼吸気味になった僕を抱き締めようとした。



「やだっ!」



僕は必死に腕を突っぱねて、陽を拒否した。

抱き締めたら、花が潰れてしまう。
花が、無くなってしまう。
そうしたら、陽は、



「ごめ、なさい、ごめんなさい、」



陽はもうすぐ死ぬ。
けれど僕は、陽に何も出来なかった。

その運命だけを識って、見物するだけだった。



「……ねぇ、何を考えてる?」



静かに陽は言った。
泣きじゃくる僕を静かに見つめて、柔らかな笑みを浮かべて言った。



「言ってよ、俺にも、背負わせてよ」



馬鹿じゃないのか、と思う。
背負うのは僕だけで十分だった。

君は近々死ぬなんて、言えるはずもなかった。



けれど、陽は構わずに、僕を抱き締めたから。
一片だけ、花弁が散った。

僕は静かに、口を開いた。



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