3
 

夏休みに入って三日目、陽の心臓に花が咲いた。
それが向日葵だったので、なんだか陽らしいなと思った。

僕はまた、置いてけぼりになる。
だから周りと関わるなといったのに、と、自分で自分を叱った。



「咲?」



早いうちに宿題を片付けておこうと、陽の部屋で勉強をしていたその日。
ぼんやり花を見つめていた僕に、陽が心配そうに声をかけた。



「どうした?具合悪い?」



ふわ、と向日葵が揺れた。
近付いてきて、微かな匂いがした。



「や、っ……」
「……咲?」



気付いたら、目の前の陽を突き飛ばしていた。
陽は僕の頬に触れようとしたのか、手を伸ばしたまま固まっていた。



「あ……っ、ごめ、」



陽がいってしまう。
急に怖くなって、身体が震えた。



「っ、やだ、や、」
「ど、したの、ねぇ、咲っ」



陽が僕の肩を掴んだ。
心臓の花が揺れた。



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