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ひとしきり泣いて落ち着いたようで、目を赤くした瑠依の手当てをした。
瑠依は大人しく着替え、右手を取る俺をじっと見つめていた。



「っ」
「……我慢して」



痛むのだろう、息を飲むのがわかるけれど、どうにも出来ない。
細い手だった。



「ヒビ入ってるかもね。熱も持ってるし、後で救護室に行った方がいいよ」



瑠依は大人しく、こくりと頷いた。
こう素直だと、調子が狂う。
初対面のときの態度とは、随分違う。



「……すごい手だね」



テーピングを巻き直してやり、改めて思う。



「……汚いでしょう」



感情の籠っていない声だった。
手、以外の身体に対してもそう言っているのだと、暗にわかった。



「なっ……」



気付いたら、その手にキスしていた。



「……あれ?」
「な、何してるんですか」



自分の行動より、動揺しているような瑠依の声が面白かった。
少し頬が赤くなった、恥ずかしがっている顔が、愛おしかった。



「おもしろーい」
「なっ……あなた、がっ」
「瑠依」
「っ!」



もう少し、このこの相棒でいてやろうと思う。



「これから、宜しくね」
「……はい」



「蓮」



初めて呼ばれた名前は、心なしか柔らかな響きを持っていた。



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