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「何でケーキ?」



ここまで踏み込む必要はないけれど、一週間以上気になり続けた俺の好奇心は、止まることがなかった。
少年は気にする風もなく、文字を打つ。



『さいごに たべたから』
「最後?」
『ぼくが こえを だせた さいごのひ』



よくわからずに、返事を図り兼ねていると、少年はすっと携帯をポケットに戻そうとした。



「っ、待って」



気づいたら、その細い腕を掴んでいて。



「聞いてもいい?迷惑なら、いい。でも、毎日ケーキ見に来てくれたの、嬉しかったから」



興味本位ではないわけではない。
でもそれ以上に、少年の夢みたいなものを、これで終わりにしたくなくて。



『ぼくの りょうしんは ころされました』



そんな言葉さえ、少年は困ったように笑いながら紡いだ。



『くりすます』
『みんなで けーきを たべて』
『つぎのひ じこで ふたりは しんだ』
『ぼくは いえで ねむってた』



『みんなで さいごに たべたの ケーキ』



そう打つ頃には、再び涙が零れ落ちていた。



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