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「……お前が心配することじゃない」
ふっ、と笑った先輩は、すごく、綺麗で。
僕はこの人に、食べられてもいいやって、思ってしまった。
「ぼ、僕の血、あげます」
「え?」
「僕のなら、飲めるんでしょう、だから、」
ベッドから降りようとして、
「あ……?」
「っ、ばか、まだ寝ていろ!」
くらりと視界が歪んで、気が付いたら先輩に抱きこまれていた。
「相当量の血を取られたんだ、貧血状態で歩けるわけがない」
「で、でも、先輩が、死んじゃう、」
「お前が死ぬかもしれないんだぞ。血を吸われれば貧血にもなるし、生気も吸われる。……感覚はあったと思うが、性欲も増して、体力が奪われる」
僕が、死ぬ?
それでも、先輩は……?
「現に今、極度の貧血状態で動けないし、熱も出てしまっているだろう」
「あ……」
「俺の責任だ、回復するまでは介抱する。けど、これからは……お前には近付かない」
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