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「……ん……?」



右肩のずくりとした痛みに、目を覚ました。
身体を起こすと、ずきっと痛む。



「起きたか」
「っ」



僕が眠っていたベッドの傍らには、あの先輩がいて。
私服姿なのと、いつもと違うベッドの香りに、ここは先輩の部屋なのだと気付く。



「あ、ぼ、ぼく……」



混乱する。

怖いことが、あって。
血を、吸われて。
……気持ち、良くて。



「悪かった」
「……え……?」



綺麗な先輩は、眉をよせながらそう言った。
おずおずと手が伸びてきて、頭を撫でられる。



「いい匂いで、美味しそうで、理性が飛んだ」
「……あ、の……」
「何だ?」



怖かったはずなのに、今の先輩は怖くない。
ずっと無表情だけど、雰囲気が柔らかくて。



「先輩は、何、なんですか……?」



僕の問いかけに、先輩は一度だけ、目をつむった。

次に合った目は、黒にも近い赤。
血の、紅だった。





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