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平凡でちびな僕は、そのイメージに違わぬ、図書委員だった。
「よっ……と」
金曜日の今日は、放課後の当番の日だった。
もう一人の当番は部活があるとのことで、先に帰ってしまっている。
先生も会議に出てしまい、完全に一人だ。
返却された本を整理しながら、時計を見上げる。
もうすぐ閉館時間だった。
図書室の利用者自体も少なく、その日僕は、閉館後の施錠まで任されていた。
閉館の時間になって、入口のプレートを『閉館』に変更しようとしたとき、
「……なんだ、閉館か」
「あ、大丈夫ですよ」
片手に本を持っている男が、入ろうとしているところだった。
ネクタイの色からすると、二つ上の三年生だ。
「返却ですか?今先生はいないので、僕が……」
「………」
「……?」
先輩は、じっと僕を見つめてくる。
見つめるどころか、身長差を縮めるように、屈んでまで。
夕方で薄暗くてよく見えていなかったけど、この先輩、すごく美人。
「お前……いい匂いするな」
「は?………ちょ、う、わっ!」
ぐい、と肩を押されて、閲覧用の机の上に座らされる。
慌てた途端に首元に先輩の顔が寄せられた。
ぺろ、と首筋を舐められた。
「な、なっ、何、するんですかっ」
「んー……」
腕を掴まれて動けない。
頭の中が混乱して、でも力が足りなくて、先輩の舌が、首を舐めて。
「ひっ……!」
ぶちぶちっ、と音がしたかと思うと、制服のシャツのボタンが弾けるのがわかった。
恐怖で身体が固まった。
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