7
 

「こうか?」



先輩が自分のワイシャツのボタンを開けて、首筋を見せてくる。
匂いでくらくらして、身体が熱くなってきた。



「はい、あの、痛かったら、言ってください……あっ、痛く、しないので、頑張ります……」
「わかった」



先輩は僕を受け入れて、そして、血をくれると言った。

一歩間違えば生命の危機にも陥る行為で、先輩の提案はもちろん拒否した。
けれど、抱きしめられたら力が入らなくなって。
その匂いに、溺れた。



「ん……」
「ごめ、なさ、すぐ終わらせます……」



先輩の首筋を舐めると、少しだけ身じろぎされた。
舌で血管の位置を確かめる。
本能が知ってる、人間からの血の吸い方。

僕よりも体格がいい先輩が、僕の腰を掴んでいて。
僕は先輩にしがみつきながら、首筋に顔を埋めていた。

―――あった。



「噛み、ます」
「ん」



じゅくり、と歯を刺す感覚。
遅れてやってくる、先輩の血の味。

一口吸ったそれは、極上の甘さ。



「……うまいか?」
「ん、おいし……なに、これ……」
「………」



やばい。
止まらないかもしれない。



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