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「や、ぁ、あの、違う、くて」
「ん……?目の色が……」
「……!」
吸血鬼の色だ。
僕達は血を欲するとき、人間の姿から吸血鬼の姿に変わる。
目は、血にも似た黒い赤。
鋭く尖った歯は、皮膚を容易く破る。
「やだ、見ないで、みな、でっ……」
「きちんと話せ」
「やっ……」
「嫌いになったりしない。ゆっくりでいいから」
何を抱えてる?
頭を優しく撫でられながら言われると、僕の心は、すぐに決壊した。
「吸血鬼……?」
「信じて、くれますか」
「お前がこんな嘘をつくわけがないだろう。理由もない」
「ひ、人を殺したりはしないんです、ちょっとだけ、血が必要で」
「どうやって飲むんだ」
「え、えと、首から、噛んで……」
「ここか?」
先輩がぐいっ、と自らの首筋を見せてきた。
思わずごくりと喉が鳴る。
「美味しそう……」
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