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僕は、悩んでいた。



「遅いぞ」



放課後、図書室の入口で待ってくれているのは、僕の恋人。
二つ年上の三年生。

図書委員の僕と、図書室常連の先輩。
利用者自体が少ない図書室の中、知りあうのはそう、難しくなかった。



「返却が多くて」
「……帰ろう」



告白は、先輩からだった。
美人で背が高くて、知的な先輩にそう言われ、嘘かと思った。

でも、嘘じゃないってわかる。
口数は少ないけれど、こうやって、手を繋いでくれるから。



そんな幸せ絶頂な僕なのですが、一つ悩みがありまして。



僕は―――人間じゃない。

先輩が好きで、好きで好きでたまらなくなると、喉が鳴る。
飢えた獣のように、先輩の首筋をじっと見つめてしまう。

噛みつきたくて、吸いつきたくて、一瞬自分を見失う。



そう、僕は、吸血鬼だ。



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