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体調がひどく悪い。
悪阻だとはわかっていた。
今日は最悪に調子が悪くて、風邪気味を理由にベッドで寝ていた。
リビングで颯太の声がする。
誰かと電話してるんだろうか。
俺は未だに、颯太に打ち明けることが出来なかった。
産むか堕ろすか、その選択も決められなかった。
「っ……ふ、」
どうしたらいいのかわからなかった。
打ち明けることで颯太に嫌われるのが嫌だった。
それでも、堕ろすことも躊躇われた。
俺と颯太の、子ども。
そっとお腹を撫でた。
涙が出て、止まらなかった。
「伊央!」
「っ」
寝室のドアが開いて、つかつかと颯太がベッドに近付いてくる。
なんだか怖くて、布団を掴んで端に寄る。
ぎし、と颯太がベッドに乗り上げてきた。
腕が伸ばされて。
「っ……!」
ぎゅっと、抱きしめられた。
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