3
 

side.颯太



最近、伊央の調子がおかしい。



明らかに顔色が悪い。
ぎこちなく笑う。
夜は、拒むようになった。

何より。



「っ……けほ、げほっ……」



夜中にベッドを抜け出しては、伊央はトイレに向かう。
小さな背中を丸めて、吐き続ける。

一度声をかけると、びくりと肩を震わせて、風邪気味だから、と言われた。
何日も続く嘔吐に、風邪どころではないということは気付いた。

病院には行っていると言う。
何が原因かは言ってくれなかった。

もしかしたら、重大な病気なのかもしれない。
そう思うと、ぞっと背筋が冷えた。



「あー、卓巳?」



医者をしている友人に電話をかけてみた。
伊央が言ってくれないことについての相談含め、体調についても。



「―――って感じなわけ、最近」
『はっ……!?もしかして、颯太聞いてない……?』
「何を?」
『ったく、あいつ……!俺が言うべきことじゃ……いや、あいつ絶対言わねぇな』
「?」



卓巳が電話の向こうで大きな溜息をついた。



『お前の子、妊娠してんだよ』



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