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「え……?」
耳を疑った。
「だから、妊娠してるって。3ヶ月」
「にん、しん……?」
体調が悪いとは思っていた。
医者をしている友人、卓巳のところに遊びに行くついでに、診察をしてもらったときだった。
「そ。産むか産まないかは伊央の自由だけどな。相手はあいつだろ?」
「っ………」
「……堕ろすなら早いうちに決めな」
目の前が、真っ暗になった。
帰り道、そっとお腹を撫でた。
自慢できるような体格じゃない俺のお腹、この中に、子どもがいる。
俺と、颯太の子ども。
「っ……」
言えるわけがなかった。
俺と颯太は、『家族』を知らなかった。
俺と颯太は、『家族』にはなれない。
俺と颯太は、『家族』に捨てられたから。
『家族』になんて、なれるわけがない。
あんなに『家族』を憎んでる颯太に、言えるわけがなかった。
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