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あ、泣きそう。



無言のまま、後ろで颯太がごそごそと布団に入るのがわかる。

俺は、意地っ張りだから。
馬鹿で、うまく言葉を見付けられないから。
いつもこうやって、喧嘩してしまう。



でも、駄目なんだ。

俺は颯太の弟じゃなくて、颯太と『家族』になるから。
俺は、一歩進まなくちゃいけない。



「……伊央……?」



勇気を出して、颯太を背中から抱きしめた。
こっちを振り向こうとするから、慌てて止める。



「そ、のまま、聞いて」
「……何」
「お、おれ、」



ぐっと、腕に力をいれた。



「颯太にとって、何……?」






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