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病室には一定のリズムを鳴らす、心電図の音だけが響いていた。
ベッドから出た、折れそうなほど細い腕。
そこには点滴の針と―――鬱血した注射の跡や、赤黒い痣。
刃物で切り付けたり、自分で引っ掻いたような傷跡は、腕だけでなく首にもあった。
「………」
呼吸器をつけた顔は、幼さを残しながらもどこか儚い雰囲気を持っている。
これで同姓で、尚且つ2つしか歳が変わらないもんだから、驚く。
「痛々しいな……」
ぽつり、呟いた。
保護されて3日経つが、目を覚まさないのだという。
出生も、不明。
自分が生きてきた世界とあまりに違いすぎて、目眩を起こしそうだった。
優しく、頭を撫でた。
反応はなかった。
父親から聞かされたとき、冗談じゃないと思った。
けれど痛々しい姿が、忘れられなかった。
少しでも力になれるならと、思わずにいられなかった。
「早く、目ぇ覚ませよ……」
どんな目をして、どんな声なのか。
早く、知りたい。
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