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side.千夏
僕みたいなひとのために。
ご飯を作ってくれるひとがいて。
だから残すことは、だめだと思った。
「次はもうちょっと少なめにしようね」
ゆうじは僕の頬をやさしく撫でた。
涙が止まらなかった。
ごめんなさい、がいっぱいになった。
たべられなくて、こんなこともできなくて、ごめんなさいって。
「ごめ、なさい……」
「……どうして謝るの?」
「………ごめん、なさい……」
僕はしっぱいするたびに、ごめんなさいしか言えなくなってしまう。
ゆうじは絶対にないって言ったけれど、いつか気が変わって、捨てられてしまうかもしれないって。
すてないで、ごめんなさいって、苦しくなる。
「ひぅ……っえ……う、っ」
泣いちゃだめだ。
うるさい、って言われてしまう。
でも、止まらない。
こわい、
こわくて、涙が止まらない。
「ふぇっ……え、っ」
「………」
寝かされていたのに起こされて、ゆうじがぎゅってしてくれた。
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