3
 

今日は生徒会で帰りが遅くなった。
冬が近づいたこともあって、外はもう暗い。



「ごめん、ちなっ……」



きっと千夏は、俺の帰りを待っているのだろうと。
息も整えないまま、病室のドアを開けた。



「っえ……?」



がらん、としていた。
ベッドには誰もいなくて。
シーツに触れると、ひやりと冷たい。



「ち、なつ……?」



どこに行った?
一人で出ていった?
もしかして、誰かに、



「っ……!」




荷物を投げ出して、病室を出た。
まだ外部に対して、十分な耐性がないのに。



「千夏っ!千夏!」



泣いているのだろうか。
怖がっているだろうか。

早く、会いたい。
早く、抱き締めたい。



俺にとって、千夏は。
最初は義弟という形の、守ってやらなきゃいけない存在で、
少しずつ、それは変わって、
守ってやりたい、存在になった。

俺が、千夏を求めてた。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -