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今日は生徒会で帰りが遅くなった。
冬が近づいたこともあって、外はもう暗い。
「ごめん、ちなっ……」
きっと千夏は、俺の帰りを待っているのだろうと。
息も整えないまま、病室のドアを開けた。
「っえ……?」
がらん、としていた。
ベッドには誰もいなくて。
シーツに触れると、ひやりと冷たい。
「ち、なつ……?」
どこに行った?
一人で出ていった?
もしかして、誰かに、
「っ……!」
荷物を投げ出して、病室を出た。
まだ外部に対して、十分な耐性がないのに。
「千夏っ!千夏!」
泣いているのだろうか。
怖がっているだろうか。
早く、会いたい。
早く、抱き締めたい。
俺にとって、千夏は。
最初は義弟という形の、守ってやらなきゃいけない存在で、
少しずつ、それは変わって、
守ってやりたい、存在になった。
俺が、千夏を求めてた。
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