2
side.千夏
ゆうじは簡単に昇っていたのに、むずかしい。
「あっ……」
ず、っと足がすべる。
咄嗟に手をついたけど、がくん、と膝がおれた。
「………」
そのまま座り込む。
立ち上がろうと力をいれるけれど、足ががくがくした。
暗い、みち。
ひとり。
「……ゆ、じ……」
僕の声だけが、響いた。
「ふ、ぇ……っ」
足が冷たい。
身体が震える。
どうしよう。
どうしよう。
怒られるかもしれない。
もう、いらないって。
言われてしまうかもしれない。
僕にとってゆうじは。
最初はこわくって、
でもやさしかったから、
一緒に、いたくなって。
だから僕は、ゆうじにいらないってされるのが、一番、こわい。
「ゆうじ、っ……ゆ、じっ……」
会いたいよ。
いらないって、言わないで。
前へ top 次へ