3
 

「頑張ろうね」
「は、い」
「歩けるようになったら、一緒に、出掛けようね」
「っ……はい、」



そう言って、始まった。



「手、こっち、握れる?」
「は、い……」



外には出られないから病室内で。
山崎さんからやり方は聞いていたから、一番怯えない俺が、千夏の手をとってやった。

まだ、脚の筋力は戻ってない。
長い拘束は千夏が歩く感覚を失うには十分だった。
腕の筋力もない千夏の手を取って、俺が身体を支えてやる。
脚はガクガクと、震えていた。



「そう、もう一歩、頑張って」
「ふ、うー……っ……」
「ゆっくりでいいよ」



千夏の額に汗が滲んだ。
普通なら簡単なことも、千夏にとっては、難しい。



「あっ……」
「っ……と、」



ふら、っと足元が揺れて、咄嗟に抱き締めるように身体を支えた。



「っ……ごめ、なさっ……!」
「ん、大丈夫。ちょっと休もっか」
「………」



そのまま抱き抱えて、ベッドに座らせた。
額の汗を拭って、水も飲ませてあげた。



「大丈夫?きつくない?」
「……はい……」



……疲れたのかな。
少し元気がない。



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