4
 

「千夏もただいま、してみよっか」
「………?」



もう夜だ。
きっと、大丈夫。



「よいしょ」
「ひ、あ……っ!」



抱き抱えて立ち上がると、首に腕が巻き付いてきた。



「どこ、行っ……ちがうひと、っ」
「ずっと一緒にいるよ。また、ここに戻ってくる」



けれど千夏は信じられないのか、必死に抱きついてきた。
まるで捨てないで、と言うように。



「しっかり掴まってて」
「っ……は、い」



肩に顔を埋める千夏の頭を撫でながら、俺は病室を出た。

元々、人が近付かないように千夏の周りの病室はあけている。
近くに階段があり、そこを登ると、



「千夏、目、開けて」
「っ……や、」
「大丈夫。ね」



千夏が恐る恐る顔をあげて、そのさらさらとした髪を、風が吹き上げた。



夜の屋上。
満天の、星。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -