2
 

「………千夏?」



俺が病室に入ると千夏はいつもベッドに横になっている。
寝ているときもあるし、起きているときもある。
今日は、



「………?」



ベッドに山が一つ。
まるで蹲って隠れているように、布団にすっぽり入ってしまっている。



「どうしたの、」



泣いてるのかと思い近づくと、ひょこりと頭だけ布団から顔を出した。
きょとんとした表情でこっちを見て、



「あ、あ……っ」
「ん?なに?」



うまく言葉を作れない千夏の声を、ゆっくり聞いてやる。



「え」



千夏の両腕が伸びて、肩から布団が落ちた。
腕は目の前の俺の腰を抱き締めて、そのまま、顔をお腹にうめられた。



「ど、したの」
「あ、っ……ゆ、じ」



いきなりのことでよくわからない。
ただ千夏は必死に何かを伝えようとしていた。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -