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「………千夏?」
俺が病室に入ると千夏はいつもベッドに横になっている。
寝ているときもあるし、起きているときもある。
今日は、
「………?」
ベッドに山が一つ。
まるで蹲って隠れているように、布団にすっぽり入ってしまっている。
「どうしたの、」
泣いてるのかと思い近づくと、ひょこりと頭だけ布団から顔を出した。
きょとんとした表情でこっちを見て、
「あ、あ……っ」
「ん?なに?」
うまく言葉を作れない千夏の声を、ゆっくり聞いてやる。
「え」
千夏の両腕が伸びて、肩から布団が落ちた。
腕は目の前の俺の腰を抱き締めて、そのまま、顔をお腹にうめられた。
「ど、したの」
「あ、っ……ゆ、じ」
いきなりのことでよくわからない。
ただ千夏は必死に何かを伝えようとしていた。
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