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学校から家に帰って、飯食ったり色々して。
落ち着いたら千夏のところへ。
俺の、日課。
あれから、俺は千夏の病室で夜を過ごすことにした。
もともと広めの部屋に、ベッドをもう一ついれた。
親父は看護師を同伴させる言ったけれど、断った。
千夏は俺に一番心を開いてると自負してるから。
勘違いでも、思い込みでも、いい。
「眠れそう?」
「……う……」
もぞ、と隣のベッドで布団が動いた。
ベッドとベッドの間には小さな机が一つ。
手を伸ばしてギリギリ届く距離。
「……おやすみ」
「………」
返事はなかった。
「………」
目を瞑ると、昼間のことを思い出した。
途中でやめるなんて、我ながららしくないことをした。
でも、なんとなくわかってた。
―――俺はもう、誰も、抱けない。
「………ん、う……っ」
苦しそうに眠る千夏に、胸がぎゅっとなった。
どんな風に傷ついて、傷つけられたのかなんて、聞くことはできなかった。
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