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「ん、あっ……!」



空き教室で聞こえる嬌声は、俺の目の前のおとこのもの。



「はや、くっ……したっ、さわって……」
「もう我慢できないの?」



この男は俺のご用達。
呼んでは抱き、金を払う。
この学校では売りをしてるやつも、それを買うやつも、珍しくはない。



「んっ……んん、っあ!」



望み通り下を扱ってやり、するりと後ろに指を回して、



「………」



何か、引っ掛かった。



「ゆう、じ……?」
「………ごめん」
「えっ」



引っ掛かって、思い出して、気分が削がれた。
落ちた制服を拾って肩にかけてやり、いつもの金を机に置いて、振り返らず教室を出た。

当たり前の事だった。
遊びでいろんなやつを抱いた。
自分が気持ち良ければ、それでよかった。



「………くそ」



一瞬だけ、ちらついた。
千夏の、涙。



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