6
side.千夏
この優しさが続くなら。
ここに居られるなら。
僕は、この人に仕えたい。
僕の、ご主人様。
「じゃあ、お願い、聞いてくれる?」
「っ……は、い」
「ご主人様って呼ばないで。裕二、って呼んで」
……やっぱり、このご主人様はよくわからない。
名前で呼んで、なんて。
「ゆ……うじ……?」
「そう。いいこ」
「ゆう、じ……裕二、」
「ん、」
褒められるのが、嬉しかった。
「信じて、俺は、千夏に何もしない」
「……?」
「その、痛いこと、とか」
「ど、して……?」
裕二の顔が、くしゃりと歪んだ。
僕は買われたから、当然なことなのに。
「俺がしないって言ったら、しないの。わかる?」
「……は、い……」
「だから……触れてもいい?」
どうして聞くんだろう。
僕に、拒否権はないのに。
そっと、頭に触れられた。
数回撫でられて、気付いたら、抱き締められていた。
優しい、匂いがした。
このご主人様なら、僕は―――殺されてもいいや
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