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どうしよう、駆け寄りたいけど近付いていいのか。
わたわたしていたら、必死に千夏が起き上がろうとしているのがわかった。
(……もしかして……?)
腕の力だけで、ベッドにはい上がろうとしていた。
足は、床に投げ出されたまま。
足首にくっきりと、何かに繋がれていたような痣があった。
(歩け、ないのか)
「ふ、ぇっ……」
「!」
腕だけでベッドにしがみついていたけれど、ずるりと落ちてしまった。
もう何も考えず、駆け寄った。
「ごめんね」
「や、やぁっ……!」
「乗せるだけだからね、」
小さな身体を抱き抱えた。
年齢、身長の割に、ぞっとするほど軽かった。
ばた、と暴れたけれど、その力は弱い。
頭を胸に押しあてるようにして、ゆっくり、でも早く、ベッドに上げた。
「ごめんね、もう……?」
離れようとしたけれど、千夏の温もりが胸の中にあった。
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