5
 

side.航



「ちょっ……奈津、?」
「ちがう、っ……僕、」



奈津が必死に、言葉を紡いだ。



「僕、も……っ」
「……え?」
「こ、うが……好き、」




頭ん中、真っ白。



「、え……うそ」
「うそじゃなっ、」
「え、待って、ちょ、俺」



完全に混乱した。
奈津が、俺を、好き?

まるで――夢のような。



「こっ……」
「ん、?」
「も……どこも、行かないで、」



ずっと、傍に、いて



か細い声だった。



「……うん」
「こう、……こうっ」
「奈津……愛してる」
「っ……!」



奈津はそれから泣きじゃくって、ただただ力いっぱい俺に抱きついていた。

骨が浮かびはじめた華奢な背中を撫でながら、そっと柔らかな髪にキスをした。



どうか、もう、奈津が傷つかないように。
――傷つけないように。




愛おしい、大切な、この子を。
ずっと、ずっと。



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