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side.航
奈津に会わなくなって、2週間くらい経っただろうか。
俺は保健室に来ていた。
奈津が寝ているのを確認して、入ってきたのだ。
「……奈津、前より、」
「食べさせてもすぐに戻してしまって。薬があっても眠れないようで、今日もふらついてました。3日ぶりにこうして、ようやく眠れたみたいですけど」
布団から出た腕は前よりも明らかに細くなっていて、点滴の針が刺さっていた。
睡眠不足が表情からも見てとれ、ぐったりして、眉間に皺を寄せて苦しそうに眠っていた。
本気で、このまま死んじゃうんじゃないかと思った。
「なんっ……何で、こんな」
「私にも分かりません。何か私が見ていない時に、きっかけがあったのか」
まずは体力を戻さないと、と先生は切れかけた点滴を変えた。
「っ……ん、」
「奈津?」
少しだけ、死んだように眠っていた奈津が、身動ぎした。
「ふっ……う、……ッ」
「どうしました、奈津」
「ん……、っひ……っ」
すっかり細くなった手でシーツをぎゅっと握り、眉間に皺を寄せている。
奈津はうなされているようだった。
よく見ると、涼しい保健室の中で額に汗を浮かばせていた。
「奈津、起きなさい」
「う……、や、っ」
先生が奈津の肩を揺らした。
俺は即座に立ち上がって、保健室を出ようとした。
「行ってしまうのですか?」
「……俺は、奈津に会う資格なんてない」
ドアを、閉めた。
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