4
 

side.航



奈津に会わなくなって、2週間くらい経っただろうか。
俺は保健室に来ていた。

奈津が寝ているのを確認して、入ってきたのだ。



「……奈津、前より、」
「食べさせてもすぐに戻してしまって。薬があっても眠れないようで、今日もふらついてました。3日ぶりにこうして、ようやく眠れたみたいですけど」



布団から出た腕は前よりも明らかに細くなっていて、点滴の針が刺さっていた。
睡眠不足が表情からも見てとれ、ぐったりして、眉間に皺を寄せて苦しそうに眠っていた。

本気で、このまま死んじゃうんじゃないかと思った。



「なんっ……何で、こんな」
「私にも分かりません。何か私が見ていない時に、きっかけがあったのか」



まずは体力を戻さないと、と先生は切れかけた点滴を変えた。



「っ……ん、」
「奈津?」



少しだけ、死んだように眠っていた奈津が、身動ぎした。



「ふっ……う、……ッ」
「どうしました、奈津」
「ん……、っひ……っ」



すっかり細くなった手でシーツをぎゅっと握り、眉間に皺を寄せている。
奈津はうなされているようだった。
よく見ると、涼しい保健室の中で額に汗を浮かばせていた。



「奈津、起きなさい」
「う……、や、っ」



先生が奈津の肩を揺らした。
俺は即座に立ち上がって、保健室を出ようとした。



「行ってしまうのですか?」
「……俺は、奈津に会う資格なんてない」



ドアを、閉めた。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -