3
 

「……奈津、薬飲みましょうか」
「……ん、」



皆川先生が帰って、のんびりソファに座っていたのだけど。
言い知れぬ不安は、突然に襲ってくる。
何がきっかけでもなく、ふわりとそれはやってきて僕を支配する。
不安、恐怖、緊張。
負の感情がぞわりと湧き起こって、僕は混乱していく。
テンションや気分のようなものだと先生は言っていたけれど。

息が荒くなりはじめた僕を見越して、先生が精神安定剤を飲ませてくれた。



「せん、せ……」
「少し、眠りましょう」
「………ん、」



ベッドに運ばれて、布団をかけられた。
最近、自覚してるくらい、僕は不安定だ。
意識して起こるものではないから、予防の仕様もないし、何故不安定なのかもわからないのだけど。



「ごめ……めいわく、かけて」
「迷惑だなんて、思ってませんよ」



先生がにこりと、笑うから。
僕は少しだけ安心して、目を閉じた。



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