5
先生に撫で続けられると、眠くなってきた。
「おやすみ、奈津」
「……ん、」
うとうとしていると、先生が横たえてくれた。
瞼が重い。
苦しい。
痛い。
悲しい。
辛いのは、嫌。
怖いのは、嫌。
1人は、嫌。
きっと裏切るんでしょう?
いなくなるんでしょう?
だったら最初から――
――信じなければいいんだ。
「っ……!」
目を覚ますと、泣いているのがわかった。
暗闇の中で目を凝らすと、傍らに先生が突っ伏して眠っていた。
僕の手を、握ったまま。
向こうには、航がいる。
「………」
信じて、いいのか。
僕にはまだ、わからないんだ。
前へ top 次へ