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目を覚ますと、
「おはようございます、奈津。……とは言っても、まだ夜なんですが」
「……せんせ」
にこりと、満月先生が笑った。
どうやらここは、先生の部屋のようだった。
壁の時計を見ると、午前3時。
「ごめっ……先生、寝てな」
「大丈夫ですよ」
ベッドを占領している僕が言うと、先生が頭を撫でた。
「奈津はゆっくり休んで下さい。高梨も心配しますから……ほら」
「……?」
先生が指差す先には、机に突っ伏して寝ている航がいた。
先生が掛けたのだろう、ブランケットが肩に引っ掛けてあった。
「……僕、」
「………」
先生は何も言わずに、僕を撫で続けてくれた。
航が僕の家に来て、キスされて。
気が付いたら押し倒されて。
頭が混乱したままに、服を脱がされた。
このあたりから、記憶が曖昧になっている。
でも、一つだけ。
「……せんせ」
「なんです?」
「航、が……好きって」
「言われたのですか?」
自然と、手がふるえた。
「僕っ……わからない、信じていいのか。いつか裏切るんじゃないかって、いなくなるんじゃないかって。僕を置いて、1人に、」
混乱して、涙が出た。
満月先生が指で、涙を拭ってくれた。
僕はただ――怖いんだ。
人を信じることが。
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