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side.満月



高梨から連絡があったとき、奈津はぐったりとした様子でベッドに眠っていた。

過呼吸を起こし、嘔吐までしたのだという。
高梨が、手を出してから。



「そう。奈津にそんな事を」
「っ……」



事情はすべて聞いた。
すっかり夜遅くになっていた。

奈津が夜中に起きてもいいように、車で俺の家まで運んだ。
高梨も、一緒に。



「高梨?」
「………」



咎めているつもりはなかったが、高梨は泣き出しそうな顔をしていた。



「君は奈津のことが、」
「……俺は奈津のこと、好きになる資格なんてない」



絞りだすような声だった。



「最低なことしたって、わかってる。でも俺は……っ」



震える高梨の頭を、そっと撫でた。



「俺は奈津が……っ」
「………君は似てますねえ」



―――恭平に。



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