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side.航
保健室では上の空で。
奈津はちらちらと先生の事ばかり見ていた。
もっと傍にいたくて、部屋に行かせてもらった。
拒否されなくて、良かった。
ここで拒否されてたら、きっと立ち直れない(多分)。
「えーと、」
部屋に来たはいいものの、何をするなんて考えてはいなかった。
寮の各部屋に備え付けられたソファに並んで座って、一時沈黙。
「良かった、な。満月先生、帰ってきて」
「!………うん」
「っ……」
はにかむような、笑顔。
滅多に見られない、奈津の笑った顔。
俺に向けられたものじゃないとわかっているけれど、胸が、締め付けられるようで。
「!」
「していい?」
奈津の顎を持ち上げた。
びっくりしたように目を見開いて、でも抵抗しない、頬を赤くした奈津。
返事も聞かぬまま、唇を寄せた。
「んっ……、ん」
「………なつ、」
「っ!……ふ、んぅ……」
ぎゅう、と俺のシャツを握る奈津が可愛くて。
頭に手を添えて離れないようにして、もっと深く、口付けた。
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