2
 

満月先生が、帰ってきた。

すごく嬉しかった。

「ただいま」と言われて。
満月先生が帰ってくる場所が、僕がいる場所で。
それがただ、嬉しかった。



「奈津、帰ろ」
「……ん、」



いつものように保健室でのんびりしていると、航がソファから立ち上がった。
……いつもより、少し早い時間。



「また、明日会いましょう」
「……さようなら、先生」
「さようなら」



先生と別れるのは名残惜しかった。
きっとここ数日会っていなかったから、足りないんだ。

にこりと笑った先生から送り出され、僕は航から手を引かれて保健室を出た。
………ええと。



「こ、う?」
「ん?」
「……怒ってる……?」
「え?」



ふと航が立ち止まった。
いつもより手を強く握られていて、「あ、ごめん」と力を緩められた。



「怒ってないよ。奈津を怒る理由、ないだろ?」
「…………」



航が優しく言って、頭を撫でてくれた。

そう言っているけれど、航、何かが違う。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -