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「え……?」



満月先生の言葉を、僕は素直に理解出来なかった。
先生は困ったように笑って、ソファに座る僕の隣に腰をおろした。
優しく、頭を撫でられた。



「ほんの、2、3日の間ですよ。だから……そんな泣きそうな顔しないで」
「別に、泣きそうじゃ」
「私も哀しいですけどね」



温かい手が、僕を撫でる。

満月先生は明日から、急に出張が入ってしまったらしい。

初めて僕に、優しい言葉をかけてくれた人。
僕が幼かったこともあって、今まで出張に行かなくていいようにしてくれていた。

もう、高校生なんだから。
いい加減に、迷惑かけないようにしないと。
そう思った。



「保健室の鍵は渡しておきますから。好きなときに入っていいですよ。それと、きょうへ……ええと、皆川先生にも宜しく伝えておきました。もし、困ったことがあったらすぐ携帯に」
「せんせ、先生」



僕を撫でる手を止めず、弾丸のように話す先生を止めた。



「大丈夫、だよ」
「……奈津」



心配をかけるわけには、いかないんだ。



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