5
 

じっと傷を見ていた航が、そっと顔を近付けて。

――僕の傷に、口付けた。



「っ……やだあっ、きたな、」
「汚くないよ」
「う、……、っく」



何度も、口付けられる。



「奈津は、汚くなんかないよ」



優しい手で、なぞられる。



「汚くなんかない。だから、」
「っく、ぅ……っ」
「自分を卑下しないで」



デジャヴ。


『奈津は綺麗ですよ』
『自分でそんな事言っちゃ、いけませんよ』



これは、誰の、言葉?



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