3
「ん」
「あ、りが、と」
温かい、ココア。
身体を起こして、一口飲む。
航は僕の足元付近に腰かけている。
「体調は?気分、悪くない?」
「……もう、大丈夫」
「ん、良かった」
ふわりと、航が笑う。
一番好きな、笑顔。
航は気付いていない。
僕が自らの意志で航に触れたことに。
「……奈津」
「……?」
「触れても、いい?」
航の視線の先には、布団の上に投げ出した、僕の手。
「……いい、よ」
「!」
自分で言ったくせに、航はひどく驚いた顔をして、こっちを見た。
だから、僕は、精一杯に。
精一杯、笑ってあげた。
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