2
 

「落ち着いた?」
「……ん、」



気が付いたら、僕は自分のベッドに眠っていた。
傍らには航が座っていて、霞みがかった記憶を呼び起こした。



「……僕、」
「ん。混乱してたみたいだから。ゆっくり休みな」



飲み物もってくる、と航は立ち上がって行った。

僕はいつも錯乱したときの記憶がない。
航もそれを知っている。

でも、今回は。
僕の記憶ははっきりしていた。



そばにいる、と。
何も変わらない、と。
そう言ってくれた。

でも、僕はまだ信じきれていない。

人の心は変わりやすい。
人はあっという間に、死ぬ。



―――航、だって。



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