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「落ち着いた?」
「……ん、」
気が付いたら、僕は自分のベッドに眠っていた。
傍らには航が座っていて、霞みがかった記憶を呼び起こした。
「……僕、」
「ん。混乱してたみたいだから。ゆっくり休みな」
飲み物もってくる、と航は立ち上がって行った。
僕はいつも錯乱したときの記憶がない。
航もそれを知っている。
でも、今回は。
僕の記憶ははっきりしていた。
そばにいる、と。
何も変わらない、と。
そう言ってくれた。
でも、僕はまだ信じきれていない。
人の心は変わりやすい。
人はあっという間に、死ぬ。
―――航、だって。
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