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ただ、怖かった。

航や満月先生が、今は優しい人たちが、母親のように居なくなってしまうのかと。

父親のように――裏切るのかと。

だったら初めから、期待するのはやめようと思った。
だけどそれは、とても哀しくて、寂しいことで。



「……奈津」



温かくて、やさしい手が、頭を撫でた。



「俺はどこにも行かない」
「………」
「俺は今と変わらない」



ひとりは、怖い。



「奈津を一人にしない」
「っ………」
「ずっと、そばにいるよ」



(ずっと、)
(……そばに?)



人は、なんて、温かいんだろう。



(信じて、いいの?)



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