2
 

部屋に着いた。
航と僕の部屋は、廊下を挟んで向かい側だ。



「それじゃな」



航が柔らかく笑って、手を軽く振る。



「まっ……」
「え?」
「あの……」



ドアノブに手をかけた状態で、航が固まっている。



「あの、」
「ん?どした?」
「あ、ありが、とう。……いつも」



なんて顔していいかわからなくて、頭を上げられなかった。

航からの、返事は、なかった。
段々と不安になって、ぎゅっと瞑っていた目を開け、そろそろと顔を上げて、



「こ、……っ!」



近距離に、航の顔。

一瞬だけ目があって、航が距離をおいた。



「……ごめ、」
「………」
「また、明日な」



気まずそうに言って、部屋に入って行った。

廊下に一人になった僕も部屋に入り、その場に座り込んだ。



(なに、今の)



でも、



(嫌じゃ、なかった)



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -