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side.航
「高梨は……奈津のことが好き?」
「……好きっていうか」
ようやく嫌がる奈津を寝かしつけ、ゆるく奈津の頭を撫でながら、満月先生がぽつりと言った。
「……好きっていうか。……放っておけないっていうか」
「……そう」
「……何が言いたいの?」
愛おしそうな目をして、先生は奈津を見ている。
「……やめておいた方がいい」
「え?」
「……今はその程度かもしれない。でもいつか、奈津の事を本気で好きになる前に……やめておいた方がいい」
ん、と奈津が身動ぎした。眉間に皺を寄せて、未だ深い眠りについている。
「先生、は……?」
「……私ですか」
しばし、目を伏せた。
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