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「高梨は大丈夫です。私が保証します」
「大丈夫、?」
「高梨は人を貶したり、傷付けたりするような人じゃない」
絶対的な信頼。
僕が先生を信頼して許しているように、先生も高梨を信頼しているのだろうか。
「今日はもう、寮に帰りましょうか」
「……ん」
「送ります」
寮は学校の隣にあるけど、熱があるらしい僕には立つことさえ辛かった。
僕が怯えないように、壊れ物を扱うように、先生がゆっくりと、そっと僕に触れて横抱きにした。
「……大丈夫ですか?」
「大丈夫……ありがとう」
「……どういたしまして」
先生がゆるりと笑う。
茶髪で耳にゴールドのピアスをしている先生は、私服だとどこぞの軽そうな男に見える。
でも白衣を着てきちんと仕事をこなし、いつでも優しい先生はそんな人じゃないって僕は知ってる。
柔らかい先生の笑顔が、僕は密かに好きだった。
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