3
 

「……ん」
「奈津?気が付きましたか?」



目を覚ますと満月先生がいた。



「え、と、」
「ひどい貧血で熱が出たんですよ。……大分、下がったみたいですね」



ぴたり、と額に手をあてられて、思わずびくりとしてしまった。
満月先生はまだ大丈夫な方だけど、やっぱり人から触れられるのは苦手だ。



「あの、人は」
「高梨のことですか?彼は奈津と同じクラスなんです。心配していました」
「………」



どうせ、もう会うこともないだろう。
感謝はしているけど。

……ふと、思い出した。



「あ、触って……」
「……奈津?」



ぞわりと鳥肌がたつ。
抱き締められたんだ、見知らぬ男に。

当時は頭の中もぐちゃぐちゃで、抵抗する力もなかったとはいえ。
過去の自分を叱責した。



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