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side.航
体育のサッカー中、思いっきりずっこけた。
笑われたまま保健室へ向かう。
「満月せんせー怪我したー」
ドアを開けて名を呼んでも、返事はなかった。
代わりに目の前のソファには、横たわる人物が一人。
(……なんで、ここに寝て……?)
目を、奪われた。
白い肌に長い睫。
少し蒸気した赤い頬。
長めの黒髪が、額を隠している。
華奢な少年の姿に思わず見惚れつつ、頭を回転させて記憶を引き出した。
(たしかこいつ、同じクラスの、浅井……?)
入学式以来、姿を現さないクラスメイト。
見た目の良さから記憶に残るのは容易く、すぐに思い出した。
保健室登校をしているとは聞いていたが、実際に見たのは初めてだった。
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