6
 

隙を見つけて包丁を取り上げた。
暴れないよう腕を取って、壁に押さえ付けた。



「いた……っ」
「あ、ごめ……」



次に謝るのは俺だった。
案の定、ガキは暴れ始めて、俺は思わず抱き込んだ。



「離せ、はなせっ……!」
「落ち着けって、俺はなんもしねーから」
「っ……嘘だ、みんなそう言うっ……!」



駄々捏ねるガキを抱き上げて、玄関に向かった。



「家まで送る。どこだ、お前んち」
「っ……」



びくりと身体が固くなったのがわかった。



「おら、どこだって」
「……いい、もう、降ろせっ……」
「は?お前歩けねえだろ」
「……適当に捨てといて」
「はあ?」



ちらりとガキを見ると、泣き出しそうな顔をしていた。



「んなことしたら、また変なことされるだろ」
「っ!」



……言って気付いた、傷つけただろうか。



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