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「おい、っ!」
逃げるようにそいつが立ち上がろうとして―――そのままふらりと倒れこんだ。
咄嗟に支えるが、そいつは暴れることなく俺の腕の中におさまった。
くたりとしている様子を見ると、どうやら気を失ったらしい。
(……どうしよ)
あの様子を見ると、救急車呼ぶのも気がひける。
軽い身体と、放り出したままの晩飯を抱えて、そのまま家に向かった。
明かりの下で見ると、想像以上にひどいもんだった。
上に着ているシャツはぼろぼろで、露出した肌は擦り傷でいっぱいだった。
(……ガキの喧嘩にしちゃ派手だな)
風呂にいれてやりたいが、気が失っていてはどうにもならない。
まずは着替えかと、ベッドに下ろして服を脱がせた。
(……おいおい)
首には……絞められたような痣。
鎖骨の火傷で爛れた皮膚。
殴られた跡と、幾重もの切り傷。
喧嘩にしては、度がすぎている。
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