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ぱち、とそいつは目を覚ました。



「だいじょ、」
「近付くなっ!」



身体を起こしたと思うと、咄嗟に後退りされた。
想像以上に声は低い。
身体の細さに女だと思っていた俺は、思わず面食らってしまった。

ビルの壁に背中をあわせ、牽制するように俺を睨み付けてきた。
僅かに身動ぎして、そいつは顔をしかめた。



「怪我、してんじゃねえか」
「っ……!」



血が滲む左肩を思わず掴むと、びくりと身体を震わせた。



「離せっ!」
「ちょ、暴れんな」



俺の手を引き剥がそうとするが、その力はかなりひ弱なものだった。
暴れるたびに傷が痛むようで、動きがぎこちない。



「おま……救急車、呼ぶか」
「やめろ!」



明らかに弱っているそいつが、間髪いれずに否定した。

……なんなんだ、こいつ。



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