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side.綾



どうして都築が、そんなつらそうな顔するの?

迷惑かけてるのは俺。
面倒くさいのも俺。
非生産的な存在で、都築にとって何のプラスにもならない。
のに。

元からわからないやつだけど、もっとわからない。
キスしたり、話聞きたがったり、つらそうな顔したり。



「俺は都築だから、話した」
「………」
「都築は俺に……嫌なことしないやつだってわかったから」



都築は少しだけ困ったように笑った。
頭を撫でられて、顔が近付いた。
あ、これは、と思った瞬間に唇が重なる。



「……何で、んなことすんの」
「したいと思ったから」



でも、そう、悪くない。

都築が好きなのか、それはまだよくわからない。
けれど好きか嫌いかと言えば、好きになる。
ただ都築のそばは、安心するんだ。



「あんま……傷のことは言うな」
「………」
「昔のことも、もういいから」
「……ん」



小さく頷くと、都築がソファから立ち上がった。



「何か食うか」
「ん」



たくさん泣いて、たくさん話したら、なんだかお腹が空いてきた。
仕方ないな、と言うように頭を撫でた都築の手の温かさを、思わず目を瞑って噛み締めた。



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