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ぽつりぽつりと、桜木は話してくれた。
掻い摘んで話したのだろう、全てじゃないことはわかった。
けれど少しだけでも、知れて良かったと思った。

嫌なら話さなくていいし、聞くべきではないと思った。
でも俺は、桜木を放っておけないと思った。
泣いている顔が、震える身体が、痛々しかった。

桜木も、話してくれた。
聞いたところで何ら解決はできないけれど、知っているのと知らないのとでは、全然違う。
掻い摘んででもいい、少しだけ心を開いてくれた。



「これが、煙草の跡」
「………」
「これは……鋏かな」



話の後、桜木はおもむろに傷を見せ始めた。
鎖骨の火傷の跡、至るところにある切り傷。
一つ一つ、辿っていく。



「これは施設のとき。こっちが学校で、」
「……いい……」
「俺が叫ぶとさ、殴られんの。それは比較的良いとき。ナイフ持ち出されたらさぁ、」
「もういいからっ」



どうしてそんなに、自嘲したように笑うのか。



「……俺、汚い?」
「違う、そうじゃねぇ」
「嫌になったなら、俺いつでも出て行」
「違うっつってんだろ!」



思わず声を荒げてしまい、桜木が怯えるのがわかった。
しまった、とその姿を見て即座に後悔した。



「ごめん……でも、違う」
「………」
「んな顔させて、色々話させて、ごめん」



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