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side.綾



迷惑かと思って都築から身体を離したら、「好きなだけいい」と言われたところまでは、覚えてる。
その優しさに甘えて思わず縋りついて、それからは、記憶が曖昧だ。

何かを言ったような、言わなかったような。
ただ涙でぐしゃぐしゃな顔と都築の様子を見ると、普通ではなかったようだ。



「……ごめん」



ソファに下ろされてもう一度呟くけれど、返事はなかった。
不安になって顔を上げると、都築が俺をじっと見ていた。



「なに、」



驚くと同時に頬に優しく触れられ、気付いたときにはキスされていた。



「っ……!」



一瞬のそれの後、身体を抱き込まれた。



「え、なに、っ」
「お前、何があった」



都築が低い声で言った。
びくりと自分の身体が固くなるのがわかって、気付いた都築が背中を撫でてくれた。



「……俺は、面倒な事は嫌いだ」
「………」
「最初お前連れてきた時も、正直面倒なことになったって思った」



都築は、何を、



「面倒だから、あんま他人とは関わりたくない。でも、」
「………?」
「俺は桜木に、関わりたいって思った。だから、」



知りたい、知って、理解したい。
そう都築は続けた。

ずるい。
そんなこと言われたら、縋りたくなる。



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