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side.綾



都築は変なやつだ。

怒りもしないし、嫌そうな顔もしない。
普通こんな面倒くさいやつが上がり込んできたら、もっとこう、対応するんじゃないか。

いたけりゃいればいい、出て行きたけりゃ行けばいい。
その距離感が、心地いいんだ。



「よっ……と」



器用に歩いて、寝室に向かった。
リビングにいても暇だし、ベッドでごろごろしたい。
寝室には都築が好きなのか、色んな本が置いてある。



(なんか、読も)



適当に本棚から数冊取って、ベッドに寝転んだ。
ぱらぱらと、読む。

開かれた窓からは柔らかい日差しと、涼しい風が舞い込んでくる。
カーテンがさらさらと、フローリングに揺れた。



(……なんつーか)



ひどく、優しい時間。
こんなに穏やかな時間があったのかと、驚くくらいに。



(やばいな、これ)



少し昔の自分を思い出して、そっと、目を閉じた。



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